『昼休みのラブコール』
ベッドの脇に携帯を置くのは好きじゃない。
眠いときはちゃんと眠りたい。
なのに。
1時間前にやっと眠りについた、昼間12時30分。
たかがメールの受信くらいで起きてしまった事を非常に後悔する。
なんでこうゆう時に限って、マクラの横なんかに携帯置いてんの、ばか。
「・・・・」
締め切ったカーテンから光がこぼれても。
携帯の画面の光のほうがよっぽどまぶしくて
でも、一番まぶしいのは受信ホヤホヤのメールだった。
件名:どーも
本文:こんにちわ。
バカじゃないのとか
どうなのこれってとか
考えて、ついうっかり笑ってしまう。
眠気のホワホワと可愛いメールが、返事を促した。
件名:どーも
本文:こんにちわ。
同じメールだな、と気づいてみても
新しく打ったんだから、同じじゃない。
送信して1分で来た返信を見て、ああ、昼休みかと気づいた。
件名:今日
本文:いい天気ですね
オッサンかよ。
クスクス笑う。なんでこう、この子は。この子ってヤツは。
カーテンを開けてみる。なるほどいい天気だ。
コーヒーでも淹れようかな。あの曲をかけて。
件名:お昼
本文:何食べようかな?
起きて冷蔵庫をあけてほんっとに何もなかったので、反射的に送ってしまったメール。
5分して、電話がかかってきた。
着信・花井君
ドキっとする。なんで電話??
「もしもーし」
『あ・・・ども』
「なに、どしたの?」
ん?なんか、音がこもってるような。
『あのっ』
「はい」
『俺・・・あと30分しか昼休みないんでっ・・・』
「え?」
読めない筋。いくら予測してみても、寝起きの頭じゃ尚更。
『あのっ・・・さん今、どこなんスか?』
「・・・家だけど?」
次の瞬間、耳に刺さるようなでかい音が聞こえて
ガッサガサうるさい音がして、耳から離そうとしたらまた声が聞こえた。
『なっ・・・』
「え?」
『な・・・なんすか今のメール??』
「は?」
今のメール?お昼何にしようってアレ?
「何って・・・何食べようかな〜と思って」
『は?』
「いや・・・寝起きっすよ」
何に動揺してるのかサッパリ分からない。高校生って―・・・
『あ、ああ!!』
「う・・」
うっせ。つい小声でそう言う。聞こえてないとは思う。
『な・・・なんでもないっす!!』
「はい?」
『なんでもねーっす!!』
「はあ?なんなの??」
笑ってしまう。なにこの子、1人で勝手に。プー!
『もー・・・なんでもないっす・・・まじ』
「何さぁ」
ふと気づいて振り返れば
少しだけあいた窓から、冷たい風がそよそよと前髪を揺らした。
「花井君」
『・・・はい』
「いい天気ですね」
『・・・そーっすよ』
それから、電話の向こうで予鈴が鳴るまでの25分間。
コーヒーを淹れてタバコを吸いながらダラダラしゃべった
耳がこそばゆくてしょうがない。
Go-hanai side.
Go-other side.