べつに、そうゆうビデオを見た事がないわけじゃない。田島からだって、4本くらいまわされた。
見るたびに情けなくも勃起してしまって結局自慰に至るわけで
もちろんセックスなんて、してみたい以前から自慰行為の対象。
いつかしてみたいと思いながらチンコ握って吐き出して
それだけだったんだけど
もし、自分ととのセックスをビデオで撮られたとしたら
俺はチンコなんか萎えちゃうんじゃないかなって思う。
体験してみて、自慰の対象は「するもの」に摩り替わった。
まぁべつにそうなったからって、大人、って気がするわけじゃないけど。
































Thank-you Smoking.-----24


















何度目かの深いキスのあと、うすいTシャツごしにためらいながら胸を触ると
「んー・・・」と、酔ったような声が聞こえてきて。
いいのかな、って思いながら中に手を入れるとは恥ずかしそうに少し笑いながら花井の首に手をまわした。
唇から頬にまわって、耳を舐めると甘い吐息が漏れる。頭を撫でる手がくすぐったい。
首筋まで花井の舌がたどり着いたとき
「ここゴムないから・・・あっち」
そう言われて、ベタを承知で花井はこないだと同じようにをベッドまで運んだ。やっぱりこの部屋のタバコの匂いは強くて
なんだか溺れていくようにの胸に顔をうずめる。
赤ちゃんみたい。そんな言葉は、今は言わない。
「んっ・・・う」
スウェットの下からとっくに熱くなってる花井の熱を腰に感じながら、小さく声を漏らす。
「うわ・・・」
さっきからの胸へ這う舌とキスのせいで、こっちもとっくに濡れている。ショーツに手を突っ込んだ花井が声を出すと、
はうるさい、とぼーっとする心の中でおもった。
「濡れてる」
「っさいなー・・・わかってるよ」
もう、なんで言うかな。こっちまで赤くなってしまう、と思いつつ、赤いのはとっくか、と力が抜ける。
それと同時に、花井のゴツい指が割れ目にすべりこんできて、また体をビクつかせた。
「んっぁ」
「・・・・」
ぐちゅぐちゅと、部屋にめいっぱい色っぽい音が響いて。
たまらなくなって舐めあげると、匂いだけで精一杯だった脳にドクドク快楽物質が注入された。
「ちょ、やぁ」
ネトネトした、でもすぐ去ってしまう味と感覚。もっともっと、と舌で深く浅く追えば、が根を挙げるのはすぐだった。
「もー・・・やだあ」
「何がっすか」
布団の中でくもった声で花井の声が聞こえる。知るか、そんなの答えられない。
かえってこない答えに見切りをつけて、また味わうとすぐ、なきそうな声が聞こえてきてドキッとした。
「も・・・や、いっちゃう」
「!」
驚いて布団を上げると、が妙なバナナのマクラに顔をうずめていた。
「ちょ、さん」
マクラをひっぺがすと、潤んだ目があう。やばいでしょその顔。なんすかその顔。
かえせといわれて再び顔が見えなくなった。花井はいとも簡単に指を割れ目に突っ込む。
「やぁっ・・・んっ」
「すげ・・・超、あふれる」
「んっんー・・・!!んあっもぉ」
「いくとこ・・・見せてください」
「やっだよばか!も、やめっ・・・」
「やめねーし」
「やあ・・・」
指にあわせて漏れる声。まとわりついてくる熱。
一瞬ぶわっと中が広がって、あ、と思うと
白い背中が弓なりに一度だけ沿って、は果てた。
・・・さん」
「・・・なんか言ったらコロス」

今度は自分でゴムをつける。わりとうまくつけられて、よし、と息を飲む。
挿入するとやっぱ溶けそうで、もう下半身全部突っ込みたい、と思って腰を引いた10秒後。
言わせてもらうがそこは自分のせいじゃない。の中がよすぎるせいだ。の顔が可愛すぎるせいだ。
たった10秒でいってしまった。これはあれだ。自己最速早漏記録達成だ。ご愁傷様!俺!
もう・・・ほんっと・・・・。ほんっとにもう!!!

「う・・・・」
「・・・あはは」
もう一回、と言おうとしたら
衝撃、拷問。はウトウトしはじめてしまって。
再戦を言えないまま、頭を撫でて愛でていたら自分まで眠ってしまった。
チンコはまだまだ、と言ってはいたが。こうゆうのも結構幸せだなーと、気づいた。気づけた。











鳴らないアラームにハッとして花井が飛び起きると、外は明るく日が差していて。
派手な音を立て、ベッドから転がり落ちる。
さんちでイチャイチャしててレンシュー遅れました〜」
そんなヤツサイテーだ。死んでいい。自分なら殺す。
嫌な想像のあと、花井がベッドに這い上がるとはおらず、時計を探す花井の目の前に、わざとらしいほど
普通のシンプルなエプロンをしたが笑って立っていた。
「おはよー」
「・・・っ・・・おは」
「何バタバタしてんの」
カッと顔を赤くして、ケラケラ笑うを見る。
「今何時っすか?」
そんなに焦られたら、いじめたくなってしまう。きっと本人は気づいてないんだろうなあ。
「もーお昼過ぎだよ」
「うっあ!!マジっすか!!」
「あはは」
ウソだよ。そうハッキリ告げると、花井が目をまん丸にしたのでまた笑う。
「まだ9時だよー。ごはん食べる?」
「・・・はぃ」
「・・・パンツくらいはいて来いよー」
ハッとして下を見る。見慣れたチンコ、コンニチワ。オハヨウゴザイマス。おうおはよう。




「これ・・・さん作ったんスか?」
「あーい」
相変わらず気の抜けた返事をしたと、意外にも意外であっけにとられる花井をはさんで
テーブルには焼き魚とごはんとお味噌汁と卵焼きとたくわん。なにこの、漫画みたいな朝食。
「食べないの?」
少しいぶかしげなはごはんを口に運びながら言うと、花井は感動かみ締めていた。早いよ!まだ食ってもないよ!
「食、食いますよ!」
「どぞ」
「いただきます!うまそぉ!」
パン、と手を鳴らして会わせた花井は、順番の癖でとりあえず白米を味わった。
「ウマイっす」
「・・・あっそ」
炊いただけだよ。うまいもクソもないだろうに。まぁもらった美味しいお米だけど。
脳内で突っ込んだにもちろん気づくハズもなく、花井は次から次へと目の前のものをたいらげていく。
「うまい?」
「うまいっす」
「うまい?」
「うまいっす」
何度聞くんだ、と思ったがその2回で充分満足だったらしく
はムフ〜と息をついてベランダでタバコを吸ったあとはもう何も言わなかった。


たらふくご飯を食べたあと、花井はぼーっとタバコに全神経をまかせるの、煙に沿って動くアゴのラインを見ていた。
午前10時。少なくとも12時にはここを出なきゃいけない。
やだな。一生ここにいたいな。そんなふうに、今にしがみつく自分は愚かだろうか。正直、どっちでもいい。
いつかこんなふうに一緒に暮らせたらいいなと思う。
朝、のご飯を食べて自分は大学とか会社とかに行って
帰ってきたらがいて、イチャイチャしながら毎晩過ごして
そんでじーちゃんばーちゃんになっても、ずっと隣にいるんだ。ずっと、あのキレイなアゴのラインを見つめながら。
うわ、何この妄想。それ、結婚じゃん。
ぶわーっとティッシュを水につけたみたいに広がる願望。初めての願望。俺って結婚願望あったんだ!うっわ!
そんな花井を知ってか知らずか
短くなったタバコを灰皿に押し付けながらがこっちを見た。ニヤリと笑う。その顔も、好きです。
「花井君」
「はい」
「お散歩しよっか」
そう言って立ち上がって差し出された手は
こんなに細くて頼りないのに
どこまでもひっぱってってくれそうで。

それってダメじゃね、普通逆じゃね。そんなふうに考えてみても、やっぱ感じることは同じだった。







「なっ」
「へっへー」
ちょっと忘れ物、と言われてマンションの前で待っていたら、予想外の方向からシャッター音が聞こえて首をひねる。
構えたがニコっと笑った。
「ちょ、撮んないで下さいよ」
「やーやっぱいいね花井君。背ぇ高いから立ってるとこサマんなる」
照れて顔を隠す花井を、愛しいなーと思う。正直な話、付き合ってる男にカメラを向けるのは生まれて初めてだった。
足を進めながらファインダーごしに花井を追うに、やめろと言うのも疲れはじめたとき。
後ろから大きな自転車のベルの音がして、は慌てて花井の胸に飛び込んだ。
胸に飛び込んだのは結果で、実際避けただけだったんだけど。
「あっぶな・・・」
過ぎていく2人乗りの高校生の後姿に、花井は胸に熱を感じながらを見下ろす。
「気をつけてくださいよ、さん」
「え?あたし?」
「そーっすよ。もーカメラ禁止」
「ムーリー」
エーッ、と舌を出したの顔が、笑えるくらいブサイクで花井は噴出す。
「なんすかその顔」
「もっと変な顔もできるぜ」
「ははは。いーっす、やんなくて」
これからいっぱい、たくさん、段々、見せてください。そうもったいぶって、花井はカメラを取り上げ肩にかけ、の手を握った。
冷たい手。の手はいつも冷たい。緊張とか緩和とか多分関係なしに、変温動物みたいに、の温度は様々に色を変える。
だって、昨日自分の欲望をたった10秒で吸い取ったあの中は、熱くて溶けそうだったんだ。

さん、カメレオンに似てるって言われたことありませんか」
「ゲッ!ないよそんなん」
「似てますよ」
「あー?言うねキミ。いつからそんなえらくなった」
「いやいや」
「花井君は全体的に「ママ」に似てると思うな」
「え?さんのですか?」
「ちっがくて・・・全体的に」
「・・・わかんね」
「あーっそ」
それよりカメラ返してよ。
だめです、手ぇ繋ぎたいから。





あと1時間と30分。あなたと手ぇ繋いでたいですから、俺。








































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