今になって思うけど
なんで赤山はそんな話をふってきたんだろう。
だって曲がりなりにも、さあやはちゃんと花井を狙っていて・・・考えすぎかも知れないけど
多分、8割くらいはこの子のための場なのだろうと思う。
そんな中で、この中で唯一ハッキリ彼女がいると分かっている花井がいて
なんでそんな話するんだろう。
普段こんなの聞いたら、おかしーよとか批判も出来るのに、今そんな冷静でいられるのなんて、くらいしかいなかった。
Thank-you Smoking.-----30
「俺はねーよ!?な、三橋!」
「あ、うぉ」
まあある方が不思議だが、何故か道連れにされた三橋がむせる。
「えー?田島君モテるのにぃ」
「まじ?」
「まじまじー」
「まあでも俺は今は野球と右手が恋人!」
「エロ〜!」
あはははは、と笑いながら、この会話がうやむやに終わってくれる事を願いつつ。花井はピザの味も分からない。
と食べたピザとは似ても似つかないのに
なんだよ。あーあ。やっぱあの日の甘い記憶しか浮かばないなんて・・・・イカれてる。
「水谷君結構ありそー、経験」
「は!?」
顔を真っ赤にした水谷が今度は噴出す。
「ないよ!俺野球一筋だもん」
「うっそだあ」
「なんで!」
「フミキは確かに見た目は遊んでるよね・・・・」
甘いパンを食べながら、がパソコンを見つめる。
申し訳ないが全員賛同せざるをえない。
「茶髪だしな」
それを行ったら水谷どころか三橋も浜田も栄口ですらどうなる事かと思ったが
ラーメンをすする阿部に誰が抵抗できるもんか。
「ヘッドホンだしね」
の益々意味不明な言葉は若干笑えた。
しかし、今の会話は奇しくも今回の最大の目的である取材内容にはビンゴそのままどストライクなので
は食い入るようにパソコンを見つめている。
その横顔は楽しんでるのと、本職をこなしている女性のそれで
なんか花井も不毛だなあなんて感じたり。
食べ終わったおにぎりのカスをまとめていた栄口の音を割るように呟いたのは
さっきより少し険しくなった顔の。
「ねぇ、顔赤くない?」
この子とこの子とか特に。そうパソコンを指差すと、明らかに照れとかとは違う赤さを纏ったさあやと三橋。
「・・・・そう言えば」
「まさか」
「いやでも乾杯ん時は全然フツーのじゅー・・・・・・・・・・・」
ス!?
誰かが動かしたのか、カメラの位置が若干ズレる。
テーブルの上に置かれた、いつの間にか出現したふとっちょな瓶。
女の子と思わしき手が、コップにそれを豪快に注いでいる。
「あ…」
一目でそれに気付いた浜田が口を押さえる。
が浜田をチラリと見る。促されるように、彼は真実を公表した。
「アレはー・・・・子供の飲むモンじゃないっす」
某有名ウイスキー30年モノ、ン十万円。
その価値は当然あのメンバーには分かって頂けるハズもなく、監視組はでっかいでっかいため息をついた。
きっとさあやの親のものだろう。こんな事したらあとでドヤされるぞぉ・・・そんな警告にも似た言葉も当然届かない。
下げ過ぎたせいで全く状況を把握仕切れていなかった事を悔やみ、は嫌な笑い声覚悟で音量を上げる。
『あ、大丈夫?』
花井の声の次に聞こえたのは、少女特有の甘ったるくてやらしー声だった。
『はないくぅん』
ビシッと音を立てるように、一瞬監視組が凍り付く。
マズィ!これはマズイぞおおおお!!
どうやらすっかり止め時を見失ったの顔を見ても事態は悪化するばかり。
っつかその持ちっ放しのタバコ、灰落ちますよ!
カメラに写るのは花井に寄り掛かるさあや。
花井の顔が赤いのは多分酒じゃなくてっていうかそんな腕にしがみついたらおっぱいがっていうか水谷まで赤山に若干せまられ気味じゃん
三橋てめーウトウトしてんじゃねーぎゃああああ田島様お願いします起きてえェェぇえあああああああ!!
乱交!
一番嫌な予感に全員が囚われる。
真剣なんだかなんなんだか、はただ画面を見つめている。
外は雨。ノイズは激しくなっていくばかりで
監視組は頭を抱えながら、やっとを揺さぶった。
ぽろりと灰が落ちて、レンタカーの床に白い粉を蒔く。
「さん!もーやばいっすって!」
「え?あー・・・」
「いやいや、もうコレアレ、まじやばいっす!」
「まじ?」
「まじですよ!はやく止めないと、まじやっちゃいますよコイツら!」
「・・・・・・・・・・・・まじ?」
ど、どうしよ・・・
絶望的にそう呟いたのらしくない声が、次の瞬間信じられない言葉で劈かれる事になろうとは。
『あたしちょっとだめかも』
『え、は?』
『部屋まで連れてって?ちょっと休んだら大丈夫だから』
さあああああああああああああああああああああああああああん!!
カメラからフェードアウトした花井の事の運びを伝えるのはもはやノイズだらけの音声しかなく
二階に続くであろう階段の音が不定期に聞こえる。
ドアノブの音が聞こえる頃には位置と雨のせいでノイズはひどくなる一方で
『は・・・、か・・・・よ』
もうほとんどまったく聞き取れなかった。
予想以上の状態に止める事も忘れたでくの坊監視組は何故か音声解析に必死で
これじゃただの盗撮盗聴集団だ。何に必死になってんだよバカ。
『ちょ・・・・ぐもど・・・く』
「アァ?きこえねーよ!花井でかい声でしゃべれ!」
阿部の検討違いなヤジは空回り。
『や・・・ない・・・』
「きっこえにくいなこいつ」
「あーイライラする」
もう何がなんだかさっぱり分かりません。
完全にある意味酔わされたバカ集団の団長の目はとっくに死んでいて
こりゃもうだめかも。そんな空気さえ流れ始めた矢先
車の横をアンテナをはったバンが通り過ぎて
そのおかげでか、一瞬やけにはっきり聞こえた声。
『一回してくれたら・・・・・・あ、あきらめるから』
いつしか土砂降りになった外に飛び出したのひねったドアノブに鍵がかかってなかったのは
どう考えても、神様が彼女の味方だからだろうと
すごく後からそう思った。
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