田島、それはマズいっつーの!!
顔を真っ赤にして栄口が制してみても、ゴット田島はいっこうに書き直そうとしない。
花井はあわわあわわと最高にキョドりはじめていて、それをみて阿部はフッと鼻息をもらす。
「もーいいじゃんけってー!!」
が用意したお願い事保管箱に田島は一番最後に紙を突っ込んだ。
それを持っていた篠岡も、顔を赤くしながら目線をそらせる。
ヒィヒィ息をする花井が顔を上げたのは、一番真ん中、つまりブルに入ったダーツの特殊な音がしたからで
はニッコリ笑顔。
「負けないよ?」
。実はダーツ、ちょっと得意だったりします。
Thank-you Smoking.-----47
参加するなんて聞いてねぇよ!
水谷も聞いていなかったらしく、先ほど3本の矢を見事ブルに刺してそのお手前を披露したに焦る。
なんたって水谷の願いは「さんと一日デート」だったからだ。
「チヨちゃん、みんな書いた?」
「えーっと・・・あと花井君だけです」
「でもさあ、さんが田島の願いひいちゃったらどうなんの?」
桜がふとギモンを口にする・・・と、と水谷が顔を見合わせた。
「え?・・・みんな名前書いてないの?」
「は?」
名前書いてそいつのを実行・・・でしょ?ですよね?と水谷と困惑気味。
「え?まじ?俺書いてないよ!?」
「俺も・・・っつか誰か書いてるヤツいんの?」
「俺かいてないよ?」
ぎゃああああああ!!!!途端今度は水谷が顔を真っ赤にしてヒザを床につけた。
俺書いちゃったよ!!!あんなチンプでささやかな願いっ俺だけ名前書いて出しちゃったよ!!
確立は低いとしてもですよ?誰かがひいちゃったら・・・誰か他のひとがひいちゃったら!!
こっ・・・これはっ・・・
「おれっ・・・負けるわけにはいきません」
「・・・何燃えてんのお前・・・」
阿部に見下ろされ、涙目ながらも男の誓いを立てる・・立てざるをえなくなった水谷。
花井はそんなやりとりに疲れたのか、もう俺書かなくていいですと言った。
様子を見る限り・・・かなりの確立でさん絡みの何か良いものだということを察したのはだまっておく!
っつかダーツなんてやったことねえよ・・・。
「はいじゃあA・Bブロック、はじめて〜」
総勢18名のダーツのプレイは一度で済むものではもちろん無い為
2台あるダーツ台をAとBに分け、とりあえずクジで決めた2人組を作る。
基本4人で1プレイなので、4組でカウントアップをやっていただき、そしてそれぞれA・Bでの勝者4人で今度は個人対戦をして
最終的に、王者となぜかジャンケンで勝ち抜いた浜田と桜の対戦となるわけで・・・。
「まぁよくわかんねーけど負けなきゃいいんだろ!」
「ほんま田島先輩サイコーっす!」
本命はやっぱ田島・瀬良チームだよねえ・・・。外野から静かに見守りながら、篠岡はルーズリーフの成績表を片手にしていた。
と、一瞬Bブロックのまわりがざわめく。目をやると、投げ終わったあとの姿勢を徐々に解いていく九条がいた。
ダーツの矢は20の内側トリプル・・・つまり、60点のところにキッチリ刺さっていて。
「すごいよ九条!」
尊敬のまなざしを向ける相方栄口に、九条は少し照れた様子で頭を掻いた。
「いやいや、マグレっす」
そうか、九条君手ぇ長いもんな・・・だから有利なのかな?自分的結果論を導き出そうとした篠岡の目の前Aブロックで
花井が思いっきり、外側のまっくろーいなんにーもないトコに矢を飛ばしているのが見えて。ああ、関係ないかと思いとどまった。
「花井先輩?」
ブッハーと笑いそうになるのをこらえているのがミエミエな相方井上が一応心配そうな顔を装うが―
「・・・・・・・」
花井は精神崩壊状態。あれ?死ぬ間際ですか?自分の背負っている重みを考えると嫌になる井上だった。
たばこの煙がふわふわと頭上に漂う。
「はい」
その言葉にふと手元を見ると、が横からペットボトルのサイダーをコップに注いでくれていた。
シュワシュワと小さな音が心地よい。
「あ、すいません」
「いーえ」
ニッコー・・・とした顔に、反射的に途切れた左眉をポリポリと掻く。
「しかしみんながんばっとるねー」
「さん、よかったんスか?」
「え?なにがあ」
自分で持ってきた杏のお酒をトポトポとグラスに注ぎながら、少し頬の染まったはタバコをくゆらせる。
「いや、田島先輩のお願いとか・・・やるんすか?」
「さあ?さっくだったらやる?」
その悪戯めいたカオにドキッとした・・・のは内緒にしておいて。
誤魔化しにつまんだ瀬良お気に入りのコンソメポテトとサイダーは、うまかった。
「俺だったら・・・やんない、かな」
「ま、確立低いしだいじょぶじゃない?」
「・・・そんなモンっすかね」
「そんなモンっすよー」
Aブロック優勝者、田島・瀬良ペア。Bブロック優勝者九条・栄口ペア。
残念ながら花井は検討むなしく三橋・相模ペアと同等の記録を打ち出した。
「ま、元気出せ」
半笑いの阿部に肩を叩かれ、花井はうなる。ほんっとご愁傷様・・・。
その他、戦意どころか生きる体力さえ奪われたものを続々と排出しながらダーツ大会準決勝戦は進む。
マイダーツを指先でいじりながら、すっかりいい感じになってしまわれたはソレを見てふふっと笑った。
「みんな、ジャンケンしない?」
「はい?」
「最後まで負けた人はーあたしとフミキで考えた罰ゲームだよ」
「は!!??」
すっかり忘れていた水谷に、なんであんたまでビビんのと笑いながら。
は4人の対戦の横で最強最悪のジャンケン大会の幕開けを告げた。
田島様と最後まで争った九条はやっぱすごくて
5点差で負けたときだって、サラリとした顔。かっこいいっつーんだよ!クジョー!!
「ダーツおもしれー!!」
絶叫した田島様にかなうわけねーじゃん。浜田と桜はとんでもなく嫌な顔をして横を見ると
どうやらものすごーく肩を落としているモノが若干一名。
あのお気楽バカクソレフトと帝王さんが考えた罰ゲーム・・・最悪ではないわけはない。
その予感に肩を震わせる。それは近くで見ていて安心するはずのメンバーですら同情してしまうほどだった。
「・・・まぁがんばれよ、阿部」
「・・・・・・・・あぁ」
「じゃあ決勝戦始めますか!」
そんなことは気にもとめてないカンジで、はマイダーツで肩慣らし中。
桜はどうやらまったくの初心者らしく、それなりにダメなカンジだったが浜田はうまくいけそう。
しかし・・・
「ユーうまいねえ」
「まけねー!」
事実、この2人の試合になるだろう。
ごくっとツバを飲む。神様どうか、田島が田島の願いをひきませんように!!!
4人のゲームの運びを悲観的表情で観ながら、ふと横に置かれてあるケーキに目をやる。
「・・・なんだこれ」
一方はすごく美味しそうなイチゴのケーキだが・・・もう一方は既に食品ではない。
しかもうまそうなケーキには「巣山君誕生日おめでとう」
食品ではないケーキには「花井君おめでとお」とブッサイクな字で書かれている。
花井が言葉を失うと同時、投げ終わったばかりの浜田がそれを見つけてそっと寄ってくる。
「すごくね?それ」
「いや・・・すげーっす、色んな意味で」
「それねえ、さんが作った」
ああ・・・分かる気がしまくる。この人はもうなんだって・・・食べ物で遊ぶなって!とまたも母親発言が飛び出しそうで必死に耐える。
そんな花井を見て、浜田は苦い笑いを浮かべて教えてあげた。
「字もさんが書いたんだぜ」
「あ?あー・・・」
チョコレートの途切れない文字で解読不可能といわんばかりの文字で・・・
「きっと花井のこと考えて書いてくれたんじゃね?」
「は?」
俺の事考えて、書いてくれたのかなあ。
毒々しい、人っ子一人くらい殺せてしまうほどのケーキの上に踊る文字。
それですら嬉しいとか愛しいとかさーもーいい加減にしてよねーほんっと。
にしてもの声はよく通る。
「いよっしゃああ!!」
まぁなんですよ。この場にいる誰もが、の優勝を応援している。切実に。
「じゃあ田島くん、一枚選んで?」
結果、最後までと田島は責め合ったが僅か3点の差で田島様が勝者となった。
全員に嫌な予感がまとわりつく。どうかどうか!!せめて田島の願いだけは!!!!!
にこっと笑った篠岡が差し出した箱に手を突っ込み、必要以上にこねくりまわす。
「んじゃあああねええー・・・・これ!!!」
ばっと引き抜いた紙に、全員が前のめりになる。
わっくわく笑顔でぐりぐりの目が文字を追う。ごくり、生唾を飲む。
「・・・・・・・・・・・・・なんだよこれええええええええええええ!!!!」
先ほどとは違った意味の絶叫を交えた田島に、ええ??なになに??と水谷が紙を奪い取る。
「えーっと・・・『さんに下の名前で呼び捨てにしてもらう』?」
「なんだよそれええ!!!俺かわんねーじゃん!!!」
「あはは。ゆーいちろー」
相模君の願いは、どうやら田島様にはささやか過ぎたようで。
「いみねー!!もっかいひかして!!!」
「だぁめだよ田島!」
箱を奪い取ると、即座にカウンターの上において。
水谷はどこから出してきたのか、すごくムカつくいやらしい顔をしながら阿部にブラックボックスを差し出した。
「さあ阿部・・・ゲームはここからだぜ」
「・・・ほんっと腹立つなお前」
『今から近所のコンビニに行って、チョコレートを買って「あ、温めて下さい」と言ってくる』
あれ?俺死ねる。
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